[アレクシスは静かに唇を舐める。やり方を間違えたか。
素直に考えれば、王府の転覆を恐れる貴族ならば、特に何の差し障りも無く王府側に付くはずなのに。
どうして一度、アレクシス・ユレを試すような事をしたのか。
また、此方も鞭だけで従わせようとしたわけではない。
あくまで「断ったら?」と聞かれたので、正直に答えたまで。
承諾を得られたら、相応の飴を与えると言ったのに。
何故、否定意見だけを聴いて逆上したのか。]
クレメンス様。
やはり、貴方は結界の外を――――……見たいのですか?
[貴族達の噂に依ると、確かラウド・レイ・クレメンスは若い頃、結界を越えて外洋へ出ようと試みた事があるとか。
それだけ諸外国に憧れがあるという事か。
であれば、彼は王府ではなく、開国派に端から付く気でこのように会話を誘導したのであろうか。
>>2:444 尤も、「若造」の問いに答えてくれるかは、この状況では甚だ疑問であるが。]