─ 高台の教会 ─
[ 白い十字架の並ぶ墓地。
石に刻まれた大切な人の名を指先で触れ
唇だけで祖父の名を呼ぶ
通りの花屋で買った白い花。
うつくしい白百合が墓石を彩って。
それは、その日じゃなかったかもしれない
だけどどこかから聞こえてきた気がしたの
どこか物悲しい旋律を奏でるリュートの音
>>1:288
その日、彼女はそこに居たのかしら
それとも風に乗ってどこかから
音が漂ってきたのかしら。
ふ と顔を上げ
もし今日もそこに彼女が居たのなら
小さく会釈でも、したかもしれないけれど。*]