[>>0すぐ近くから届く嗚咽も、
泣いているせいか少し高めに伝わる体温も、
目を伏せてしまえば、あの頃と変わらぬようにも思え。
けれど、瞼を上げれば瞳に映るは成長したシモンの姿。
いっそ存分に泣いてしまえば落ち着くかと、
言葉で落ち着くように促すことはせずに。]
いいんだ、
[ぐらりとふらつくシモンの上体に気付き、
その身体を支えようとした所で、バランスを崩す。
男の体重が掛かれば、引き倒してしまう形になったか。]
わ、 お……、
[慌てて手をついたのは、仰向けに横たわったシモンの上。
見下ろす形で、視線を彼の片眼と交わした。]