― 移動中→メインサロン ―
[配達屋とは実に難儀な職業だ。
ひとところに留まることが無いので、友好関係が深まりにくい。
元々人付き合いが不得手なのもあって、これまで出向いた街でさえ顔見知りと呼べる間柄は少ない。
むしろ、親しい間柄と呼べる人数は減っていく一方である。
ここ数年、彼の周囲では不審死が相次いでいる。
例えば、街で知り合った老婦人。
例えば、夜中に職質してきた警察官。
例えば、駅前のアンケート調査員。
いずれにしても、彼に興味を持ち、
【彼の事を知ろうとした者は、皆尽く謎の死を遂げてきた】
――そんなことが続いたのもあって、最近は知り合ったとしても極力親しくならないよう、人付き合いも極力避けてきたのだった。
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