[乗客に対し速やかな下船を促していると、フレデリカもそのチェックをしているのだろう>>4
では、と任せて自らは遺留物等のチェック。問題がなければ船員に帰りの行程をもう一度確認した。
鉛色の簡素なタラップの(自分が一番最後になるように降りたつもりだがどうだろうか)カンカンカンカンという音が妙に響くような気がして。一度だけ辺りを見渡した。
定刻通り迎えに来たというバスは予想よりも小さかったが、まあ人数を思えばこの程度か。
車中で問題がなければ特に何かを発することはない。ただ車内に軍服の男――あれがバルダザール中尉殿だろう――を認めれば、安堵と共に気持ちも引き締まった。]