―谷への道―[ごつごつとした石を踏みながら歩く。影響を受けない身にも、瘴気が一段と濃くなっているのが感じられる。迷宮への入り口、と伝え聞いている場所へは、もうだいぶ近づいているのだろう]はあ……。[旅姿の少女のため息の原因は、しかし妖星へ近づくことの不安でも、危機に瀕した世界への憂いでもなかった]セル様、ご無事でしょうか……。[口にするのは、瘴気に苛まれる世界を救うべく、共に旅をしている仲間のひとりの名]