[ 領主の娘ローレルは当年12歳。彼女がその半分の年齢だった時分から、シェットラントは城に住み込みで仕えてきた。父親の再婚相手とシェットラントがうまくいかないのを見越して、姫の乳母であったシェットラントの叔母が根回しをしてくれたのである。以来6年。他の護衛役が1-2年で交代する中、勤続し続けたシェットラントは姫の近衛騎士隊長となっていた。もう2-3年もすれば姫は結婚し、シェットラントも城の外に家庭をもつだろう。何事もなければ、そうなるはずだった──]