[そんな小さな騒ぎの中、一人の小さな子供が、近付いてきて、白い猿の顔を覗き込む]
「お猿さん、おねーちゃんのお友達?」
[そっと手を伸ばす子供に、今度は猿も威嚇の声を上げはしなかった]
「おねーちゃん、可哀相だね…お猿さんしんぱいだね」
[猿を撫でながら、懸命に声をかけるのが、かつて、シュビトの街で、シロウとマーティンによって助けられ、今はこの街に家族と共に避難している子供であると、知る者はいなかった]
「お、こいつ子供には慣れてる?」
「おい、坊主、このお猿さんに時々餌と水やってくれ。な?」
「うん、いいよ」
[白い猿の世話係に任命された子供は、笑顔で頷いた**]