――夜半過ぎ:自室――[コンコンとごくごく小さなノックの音が聞こえる。一人部屋の扉を開ければ、真っ赤に体を染めたドロシーがいた。>>5] っ、何を。はやく。[腕をとり彼女を室内に引き込むと、左右を確認してから静かに扉を閉じる。こんな姿を目撃されれば、すぐさま射殺されてもおかしくない状態だ。] 何を考えているんだ。 ……それは、誰の血だ?[問えばドロシーは手紙とアンプルを差し出す。血の持ち主の名前を聞けば、顔をこわばらせはしたが、ドロシーには何も言うことはなかった。]