[どれだけその場に居ただろう。
元から何も無かったように、廊下に静けさが生まれれば
ダーフィトは少し先へと進んで開かれた倉庫の近くへ寄った。
倉庫の中にはギターが一台、置かれていただろう。>>2:80
何を言うでもなく、奇抜な色のそれを手に取り、持ち上げて
片脇にしっかりと抱え込んでから踵を返す。]
[これ以上奥に行けば曲がりくねった廊下が続くだけで
探し人には出会えないだろうと思われたから。
一旦メイン・サロンへと戻ることにして
サロンへ着いたなら、適当に机を探し出して
その上にギターを安置した。
ギター自体が例の彼女のものかどうか
今となっては知るすべはないが、
幾らか弦に弾いた痕跡が残っていたために
倉庫の中で弾いていたのではないかと思ったのだ。]