― 橋北岸 ―
[───ばさり。と、翼の音を立て、陣に魔将が帰還した。
慣れた魔の者らは、取り立てて驚く風もなく道を開く。
そうして迷う素振りもなく、僕の天幕へと向かった。
途中、屍の集まり具合を確認してアンデッドの補充もしておく。
特別な仕掛けのない、簡易な屍術だ。
この手軽さも、シメオンが屍術を愛用する要素の一つであった。
雑魚の補充には召喚を行うよりも手間が少ない。]
アイリ、おいで。
[雑用を済ませて僕を呼べば、声は間違いなく届くだろう。
僕の顔を認めれば、魔はにこりと機嫌良さげな笑みを浮かべた。]