―― 玉座 ――
……陛下が崩御なされたことで、
今やラメールの大地は多くの臣民の涙に濡れている。
[斯く言う僕自身、涙こそ流さなかったものの、
驚きのと哀しみのあまり妻の食事も喉を通らなかった程だ。]
しかし、やはり陛下は聡慧でいらっしゃった。
この国の未来を担う者が誰なのかを我らに示して下さるとは!
[敢えて玉座の皆に聞こえるように声を張り上げて。
さて、この場にウェルシュ殿下はいらっしゃっただろうか。
居られるならば彼の方に向き直り、居られなければ彼の御前にまで駆けつけ、頭を垂れて。]