[ぐらり、と。二日酔いとは明らかに異なる強い眩暈に襲われ、体が傾く。込み上げる吐き気に口元を覆う。耳を劈くように鳴り響く警報アラームが、遠ざかる。なぜ、いま?ああ、そうか――… “一番右の月に あかりが灯るのが見えるだろう”意識が途切れる寸前、記憶を過ったのは、懐かしい淡い光。思い出すよすがすらない、けれどもいまも忘れ得ぬ、その声]