[ぱちくり。
不意に目覚めたのは何の所為だっただろう。
良く解らないけれど、ぎゅっと強く抱き締めていた
ルートに気づき、その長い睫毛をじっと見つめてから…
ゆっくりと半身を起こして、周囲を見遣る。
窓辺には、もしかすると既に目覚めているかもしれない
リヒャルトの姿と、ソファに横たわる白銀のうさぎの姿。
リヒャルトが目覚めていれば、軽く目配せを送り
傍に居るゲルトがちょっかいを出している事には気づかぬまま
明け始めた窓の向こう、過ぎ去った嵐に気づいて
ほっと安堵の吐息を逃した。
タクマの果樹園やマレンマの野菜たち、ローゼンの薔薇もきっと
無事だったであろうと]