……焚火は、暖かかったですか?[にっこりと笑ってそう問うた。けっして嫌味などではない。暖をとれたのならば、そのバイオリンも本望だろう。奏者のいない楽器は、死んでいるのも同然だから。後で再び買ったというのなら、それはやはり、彼は、バイオリンを愛していたのだ。そんな、生真面目な部分をみせられて、そしてこちらを伺う様な視線を感じれば。フフッと少し笑みが零れる。(それに、あんないい音色を奏でてもらえるバイオリンは、やっぱり幸せものだ。)そう、口には出さないけれど。]