― 東海上 ―[ 起死回生の一手と為すべく、男が振り回した槍の柄を、白い指が掴み取る。>>2確かに剣持つ者の逞しさを宿しながら、同時に楽奏でる優美を併せ持つその手から、槍の軌道と勢いをそのまま受け取った女神の寵児の身体が、三日月の弧を描いて宙に舞う。 ]くっ!![ 槍の柄を振り上げた体制からでは、避けきれぬ蹴りが、辛うじて頭を反らした男の顎を掠め、額に当たって兜を弾き飛ばした。 ]