─ 城下にて ─
[ 不穏な様子を見せていた総督だったが
特になにも問題は起こることもなく。
ただ、こちらに向けてお叱りが飛ぶ。 ]
はっ……申し訳ありません。
[ ぴっ と背筋を伸ばして答えたのは、
ドロシーの”鉄拳”が思い起こされたから
ただ ── ああ、言っても良いものか、と
一時躊躇するものの、このまま、只
それを受けるだけでは収まらなくて。 ]
ただ、不穏な噂がどこかから、
流れているのは事実のようです。
あの、総督はご存知ないでしょうか。
民を惑わす……その。
国王の、ご逝去に関する、噂の出処を。
[ それに返事はあっただろうか
後の総督の目線の先には王子が居て。
目を丸くしながらこちらも最敬礼で、
総督との話に耳を傾けたでしょう。 *]