―グランツェルツ橋上空―
[使い慣れた〈透明化〉の魔法の印を結び。この魔法と相性の良い自らの身体を空気に溶かし、空を駆ける。
見えたものは……船の数に対してあまりにも少ない兵力と、兵士の代わりとばかりに積まれた岩。>>2:139
投石用の岩を詰めるためだけに船を動かす。そんな莫迦な運用があるはずもない。
つまりこれは――]
連中め……本隊は別に居るとでも言うのか。
[とすればこちらは。王子に兵を向けさせないための囮か。船を奪われ破壊される危険を承知して。
……いや、連中は知っているのかもしれない。こちらの軍に、船を運用する兵科がないことを。
だが。恐らく指揮官は、この陽動が気づかれていることをまだ知らない。
……それは、主から送られたある依頼を達成するのにはいい機会なのかもしれない。
クレステッドはその準備のため、一旦橋へと戻った*]