……武器を手にするという事は、
相手を傷つけ、自分が傷つけられる可能性を持つという事。
手当のしようがない事態になる事だって在り得る。
だからどんな大義名分があったとしても、その覚悟がないのであれば安易に武器を手にする事は許されない。
[静かな声で紡がれた言葉は、近くの席の者にしか聞こえなかっただろう。
十分な知識や覚悟のない者が武器を持つ事について、女は反対の立場を取る。
民はこの手で守るべき者であり、――だから備えるのであれば騎士団や軍を強くすべきだと。
外つ国に蹂躙されぬ為の抑止力になるには、どれ程の練度や規模が必要なのかは分からないが。
そこまでは口にせずに、一つ息をついて。]