それより、
沖合を西航中の船団がオプティモを攻略対象とするのか確認し、備える必要がある。
長老殿がそちらに委ねた兵、船の運用に携わる者をいくらか俺に預けてくれないか。
おれはマチュザレムでは軍籍にある。
兵の動かし方は心得ているとも。
[そう手を打ったが、結局、王府の船団は、オプティモに寄ることなく西進していった。
アレイゼルとオプティモの紋章を並べて掲げたこちらの船を見て、すでにオプティモが陥落したと察しもしたろう。
飛行船を手放していたカナンが独断専行でその旗艦の甲板に舞い降りることもなく、思いはすれ違う。
そして、同じ女性を巡って対峙し、あるいは協力しあえたかもしれないアレクシスが生きて再びカナンに相見えることはなかった。
アレクシスの切なる献身の心は、煙となって天へと帰ってゆく。*]