― 朝 ―
[いつの間にかまどろんでいたらしい。カラスの甲高い鳴き声で目を覚ます。そして、笛の奏者がカラスに連れて行かれたこと、兎であったことを知って、絶句した。]
(ゲル君を残して得する兎と、連れて行けそうになかった兎。
…この二つを消して、あん兎の名を思ったけど…
皆はどう考えてたんやろか)
[そして、カラスが狼に連れ去られた者の名を告げないのに、リヒャルトの姿が見えないことに首をかしげ]
(連れ去られてはおらんのやろ…な?)
[思案する間に帰ってきた彼を、少し安堵しながら>>2「おかえり」で迎える。手にした枕カバーが微笑ましかった。]