[朝。研究所で一晩を過ごした…は、自分に与えられた力を理解した。]
……なるほど。
他人の正体がわかる、というのは本当のようですね。
[ふぅ、と安堵の混じった溜息を漏らす。今日正体が判明した者は、狼ではなかったのだ。]
この力を使えば、覚醒してしまった者たちをヒトに還すヒントが得られるかもしれません。
狼を見つけ、彼らから直接情報を得られれば……。
……えぇ、わかっています。もし、彼らがそれを拒むようなら、その時にどうしなければいけないか。
本当に、彼女が狼でなくて良かった。
[…は何かを決意した表情で身なりを整え、早足で宿屋へ向かう。そしてシメオンに続いてこう宣言した。]
私は【占い師】の力を授かりました。
毎朝、特定の一人の正体を知ることが出来る力です。
この力で、本日はエレオノーレの正体を確認しました。
結果、エレオノーレは人間でした。
…嫌な想像ですが、彼女が狼に覚醒していた場合、調剤の力で村中を陥れることが可能です。
私をはじめ、皆が彼女を信用している。
彼女が出した薬なら、誰も疑わずにそれを服用するでしょう。
それが毒の可能性だってあるにもかかわらず。
その懸念をしなくて良くなったのは朗報でした。