― 翌朝・聖地の宿屋 ―
[妖術師がいつ攻めてくるか分からないので、用心のため普段よりも少し早く、夜明け直前に起床する。
軽い運動と朝の祈りの日課をこなしたあとで、食堂室へ移動した。ようやく明るくなったばかりなので、まだ寝ている者も多い。既に警戒を怠らない騎士団へ、”おはようございます。お疲れ様です。”と挨拶をしてから、テーブルへついた。]
あー、結局昨日はフランツのにーちゃんとこへ顔出し損ねちゃったな。
[具たくさんのスープを口にしながら、そんな独語を漏らす。
部屋で荷物を解いた直後、聖殿の近くに移動を希望する高齢者や病人>>0:86などの宿替えを手伝っていたので、外へ食事をしにいく時間が取れなくなってしまったのだ。
チャールズの武器工房と同じく五年前から、聖地を訪れたその日のうちに『グリュック』へ顔を出していたから、いつもと違う行動を取ると、どうしても気になってしまう。
クレステッドには、雑談の折に鍛冶屋>>2―宿場町に避難指示が出されたので、チャールズも聖地に来ているだろうことも含めて―についてだけでなく、食堂も宣伝しておいた。]