[船が港に到着すると、民間人が全員降りたことを確認して自分も船を降りた。島の管理人の男性にひとつ、深く頭を下げてバスに乗り込む。間もなく辿り着いた宿泊所は、洋館を改築したもののようで、とても趣がある。――島の雰囲気とあいまって、何か出そうな気すらしてくる。ふるりと想像を追い払った。部屋は何処でも構わなかったが、玄関ホール脇の階段上がってすぐの「八重」の部屋に荷物を置いた。他に特にこの部屋を希望する人が居るようなら、すぐに移動するつもりで。]