― 回想・ラウエンブルク領にて ―
[公爵という爵位に相応しい広大な領地と、
それなりに古い格式を持つラウエンブルク家は、
だがその広い屋敷に反して住む者は少なかった。
使用人を除けば、家族は兄夫婦と生まれたばかりの息子一人。
いまだに兄は空き部屋の有効活用方が見つからないと嘆いていた。
だが暫く帰らなかったと言えど、実家はやはり気楽なもので。
臆する事無く入る様は、貴族故のものだった。
>>0:374恐縮するカサンドラに、
遠慮する事無いと言うと、兄に叱られた。]
『お前は本当に、女性の扱いがなってないね…』
[窘める兄には微妙な顔を返す。]