― 図書館 ―
[水路流れる街の、やや隅の方に、その建物は存在している。
無数の本を集めたその場所は、街の中では際立って静かな事で知られていた]
……ん?
ああ、返却に来たのか。
なら、元の場所に戻しておいて。わからないなら、そのままカウンターに。
また、何か借りていくなら、帰りに声をかけて。
[その建物の入り口近くのカウンターに座る若者は、来訪者にそれだけ告げた後、開いた本へと視線を落とす。
司書、或いは記録管理者と呼ばれる花精の態度は、いつでも誰に対してもこんな感じで変わらない。*]