[初めて訪れる場所や目にした風景をみて、自分はここに来たことがある。そう感じる事を『既視感』と呼ぶのだと教えてくれたのは、ジークムントだった。聖公教会に拾われる以前の記憶がない自分にとって、彼は実の兄のような存在であり、服の裾を掴んではなかなか傍を離れようとせず。結果、いつも困らせてしまっていた彼も、もういない――。]