ん……
[頭の芯がぼんやり鈍く痛い。何となく違和感を感じて手で顔に触れてみれば、瞼が重いことに気付く。そして何故か髪飾りをつけたまま眠っていて。
私──泣いてた………?
目の下に触れながら思い出そうとしてみる。何だかすごくすごく悲しくて、すごくすごく幸せな、そんな夢。
ただ──彼がずっと、傍に居てくれた、それだけはハッキリと覚えていて。
すぐそばで聞こえる寝息。その寝顔に何故か目頭が熱くなる。何故か少し怖くなって、恐る恐る彼の髪に触れてみる。いつものようにサラサラと赤髪が細指から滑ちた。そこには確かに温もりがあり、その温もりに胸の奥の痼りは溶けてゆく。窓の外には銀世界。そう。あれは全部悪い夢。
そっと顔を寄せれば、耳元で囁いた。]
おはよう、ギィ。