[ぽたり、涙が頬を流れ落ちる。
駄目だ、――泣くな。
けれど、袖口で何度双眸を擦っても、次から次へと涙が零れ、
どんなに奥歯を噛み締めても、嗚咽が喉から漏れ出してしまう。
シモンが人狼であってくれれば良いと、そんなことさえ願う。
そうすれば、パメラの敵を討つことが出来るのに。
けれど、そんな願いは自分の心の弱さの表れだと、パメラを見棄てた罪から逃れようとする醜さが生み出したものだと知っていたから]
――……っ う、ううっ。
[遺体が運び出されるまでの間、リゼットはただ泣くことしか出来なかった]