[冷静な思考と切り離されたように、心は嵐を孕んでいた。叫び出したい。滅茶苦茶に暴れたい。恨み言をいくつも並べたい。握りしめた拳の震えだけが、内心を映している。] ───急ごう。 指揮官を失ったケファラス隊を、取りまとめなければ。[淡々と言って、再び馬を走らせる。声が聞こえた気がして見上げれば、東の空がしらしらと明らみ始めていた。じきに夜も明けよう。移りゆく紺と白のあわいを、一羽の鳥が高く啼きながら飛んでいった。*]