― 牢 ―
[眼下で繰り広げられる紅の宴を、コウモリは時折首をくるりと回しながら見守っている。>>1:367
ひとり、男が倒れるたび、濃くなっていく甘露の香り。
飽和しきった性の臭気を塗りつぶして、鮮烈な赤の香気が立ち上る。
獣欲に狂った男たちが白い柔肌に挑みかかり、奪い尽くされて冷たい骸になるさまをつぶさに見届け、最後のひとりが倒れたところで、コウモリは聖女だった者の前へと飛んでいった。]
貴方の選択、見届けましたよ。
今の貴方は、内より輝いて美しい。
おいでなさい。
今の貴方には、私の前に来る資格がある。
[声を届けたコウモリは、先導するように彼女の前を飛んだ。*]