―早朝―
[とんとん、と規則正しく奏でられる音と、鼻孔をくすぐる甘酸っぱい香り>>0に意識が浮上する。
いつの間にか床に横になっていることに苦笑しながらゆっくりと瞼を押し上げれば、金の光が目に飛び込んできた。>>1:151一瞬寝坊をしてしまったかと慌てたが、それは射し込み始めた光に反射する仲間の美しい髪で。]
リヒャルトさん?
[どうやら自分は彼と温もりを共有していたらしい。近くに感じる他者の温もりと鼓動が優しい眠りをもたらしてくれたのか。]
ありがとうございます。
[そっと礼を告げ、毛布から身を滑り出させる。リヒャルトにはしっかりと毛布をかけ直した。周りを見回せば一様に枕と毛布>>1:143が与えられていた。誰が気遣ってくださったのかは知らないけれどお礼を言わないと。
そんなことを考えながら軽く伸びをして音のすりキッチンへ。]