[ソマリと呼ばれる騎士が投げ返す挑発は、自信に裏打ちされているかに思えた。
間髪入れずに斬り込んでくるその刃は、シャドウ・ウォークに誘い込まれて再び空を切る。
だが、さらに斬撃が重ねられる。
そしてそれは──間違いなく一薙ぎごとにヴィンセントの身体に近くなっていた。
こちらが手を抜いたわけでも、疲れているわけでもない。
付かず離れず追ってくる聖女の祈りの力か、あるいは──]
──…っ!
[後退を繰り返して、水浴室まで引きつけたと同時、ソマリの剣はついにヴィンセントの首もとに到達し、シルクのタイを切り落とした。]