[昨日のこと。
声をかけてきた真剣で溌剌としたサシャの受け応えに、クレステッドは息子の面影を重ねたものだ。>>0:109
目を患っていなければ、トビアスもこの子のように加勢を申し出たに違いない。
そう思い、(少女ではなかった)サシャに心からの賛意と祝福を与えた。]
ただし、一番の殊勲は使命を果たして無事に親のもとへ戻ることだ。
わたしにもまだ幼い息子がいるから、それを一番に願う。
人も救い、自身も壮健であること、それが最善の道だ。
[自らはそれに加えて、サシャのみならず、年少の子らは皆、息子だと思って守りに立とう。
そう自負して、サシャを見送って聖殿に戻ると祭壇の前に家族で並び、息子の快癒と聖地の安寧を祈ったのだった。
そして、日が改まり。
異形の魔物の放つ生臭い匂いが壁を越えて届いていた。**]