[カークとは、いくらか話を続けた後だったろうか。鳴り響いた船内アナウンスに、表情を引き締める。一瞬の驚愕はあったが、動揺の気配はそれほどない。] 避難か… ああ、さっきの患者の様子とか、見に行った方が いいんじゃないか? [自分の方はなんとでもなる、と暗に告げる。カークとベルティルデはどのように行動していただろう。楽器を手に、デッキの場所を思い起こす。施設をすべて覚えているわけではないが、万一の際の避難経路は常に頭の中に描けるようにはしていた。]