[帰郷後、神職に就いた理由を問うて来た者は少なくない。お世辞にも信心深いとは言えなかった少年期を知るディルドレもその一人。転向の理由は、両親にも心境の変化があってね、と言うだけで仔細は明かす事はしなかった。けれど、何故か彼の人にだけは、その一端を零していた。 『……独りだけ、残っちゃったので』。その言葉の意味を、彼女がどう捉えたかは知らない。そして、自分もそれ以上の説明をする事はなく、今に至る]