《フレデリカの自宅》
[大学の食堂から家に着くまでの間、握っていたアイリの手の温かさは紛れもない人の温かさ。
だからこれが、無邪気なアイリの私を驚かすための不謹慎で不愉快極まりない作り話や冗談であればいいなんて、心のどこかでまだ現実を直視出来なくて‥。]
さ、上がって。
[だけど期待していたようなネタばらしもないまま私の家に着いてしまう。
杖を玄関に立て掛けて、一目散に自室のある二階へと二人で上がるだろうか。]
ふう‥ここなら大丈夫、家族は黙って入ってくるようなことはないから。
[自室に入るとそう言ってやっとアイリの手を放そうとする。]