― バルコニー ―[結界を張られた以上、突入してくるまでさほど猶予はないだろう。足早にサロンを離れ、前庭と門を見渡せる二階のバルコニーへ出る。侵入者を確認するのが目的ではない。相手の様子ならば、もう"視て"いる。外へ出れば空は厚い膜のようなものに覆われていた。世界を断ち切る、強力な結界。重々しく凝る聖なる障壁。その力の源へと視線を走らせる。] 教会の飼い犬か。 少しは頭数《使えるもの》を揃えてきたようだね。[独り言に呟いて、喉の奥に笑みを零す。]