―厨房―[食堂と庭園に挟まれたそこに、この城の厨房はあった。内と外、両方へと大きく開かれた扉からは、良く煮込まれたスープの薫りが漂って。そのただ中。非常に不釣り合いな男が一人。食材の血抜きの途中だったのだろう。 目の前には、 頭を絶たれ、 ワインのように血を零す 一羽の――、鴨の骸が] …ぁ――血が、流れちまう…… [ボソリ。呟いた自らの声で我に返った]