― 船着き場 ―
[白手袋に包まれた指先で、己が髭を触る。
待ち合わせは船乗り場。
今回の此の面倒事を引き受けたのは其れなりの理由が積み重なっている。
腕に付けている時計に目を二、三度通しながらその姿をひたすら待つ。]
さて、時間の何分前に来るのやら。
教官の俺よりも遅いとは、これは調教のしようがある。
[余裕を持って出たため、集合時間よりは幾らか早い。
何処か暢気さの抜けない声が船着き場に零れ落ちた。
己は割と怖くないと有名の筈の教官。
missionだってそこまで難しモノは用意していない。
そう、誰にだって出来る当たり前のモノを用意したつもりだ。]