[カークに大丈夫かと聞かれて]
ちょっと辛いけど、まだだいじょう――
[そこまで言って、聞こえてきたのは工作員の放送。コンラートの、そしてシュテラの声。
さらに、私も容赦せずに殺害するという宣言だった。]
…まあ、予想はしていたけど。
[こうして本気で直に"殺す"と言われたのは初めての経験で、どう反応していいか分からない。特にそれを言葉にしたのがかつて仲良く会話をした相手だというからなおさらだ。
この時、自分がシュテラに対して抱いた、怒りとも憐憫とも悲哀ともつかない、形容し難い感情をまだ自覚してはいなかった。]