― 夜明け ―
[目が覚めた。はっと顔を上げる。
どうやら壁に寄りかかったまま寝てしまったようだ。
手を見ると血はほとんど止まっていた。
どうも長い時間寝ていたようだ。
牢の中の彼らはどうしていただろうか]
…
…? 今日は来なかったのか
[侍者が深夜は番を変わるはずだ。
半地下の換気口からは、早朝の明るさが漏れ出ている。
今日は来なかったのだろうか。
立ち上がるとさすがに少しくらっとするが、それでも身体は普通に動いた。
床に落ちた警棒を拾い上げると椅子に座り、少し血で汚れているが、昨日の包帯を手に巻きなおした]