ん、なっ……! 何を、
[駆け寄るも、手遅れなのは明白だった。
普通の人間が頭部を吹き飛ばせば、まず即死だ。
角度によっては頭蓋骨で弾がすべる可能性もあったが、銃の扱いに手慣れているサシャはその点については全く問題なく、彼女は完全に絶命していた。
血の海に沈む体はまだ温かい。
血に濡れた濃い色の髪を撫で、彼女の眼をそっと閉じさせた。]
……自殺だ。
すまない。止められなかった。
[駆け付けた兵たちに顛末を平易な声で告げる。
張り上げたカスパルの声は聞こえていたようで、彼らの対応は早く、遺体の回収と現場検証が開始されている。
抱き上げた時についた彼女の血で汚れた手にタオルを渡されて、さびた鉄の臭いとずしりとした肉の感触も一緒に拭い去った。
謝罪はしない。
この行動を選んだのはサシャで、こうなるように動いたのはカスパルだ。*]