[イェンスを横たえたソファーの端に軽く腰掛けて、
今日も1人、窓の向こうに広がる夜明け前の空を見上げる。
届ける相手の居ない侭に繰り返した囀りは、
今朝は子守唄の旋律として、静かに、けれど音に出して歌う。
今は白い…けれど思い出すそれとは違う肌の色の頬を掌の背で撫でて、
金の髪を懐かしく思いながら、彼の黒髪に唇を落とす。
そんな己の不誠実さに胸が痛まない訳ではない。
それでも…]
…―-伸ばしてくれた腕が、嬉しかったんだ。
けれど、寒さに震えたからといって
その手を絡めて、身勝手に捕らえてしまわずに…
…離してやるのが君の為の優しさだったのかもしれないな。