[淡々と、無表情な侭に続ける]
――敵は目視できる範囲で数名程のきわめて小規模な偵察隊であったようです。
狙撃手は、空気弾と思われる魔法弾を装備。
射程範囲が狭く、飛距離の伸びぬ種類のものであったため、隊に負傷者はおりませんでした。
……但し、非常に的は正確です。
長距離型のライフル銃や、火薬を使用した強力な弾薬を使用されていた場合は、私も無傷ではすまなかったかも知れません。
………胡桃色の髪を束ね、淡いパールグレーの瞳の若い男でした。年齢は、私と同じくらいに見えたでしょうか。
[ダーフィト・カディーネだ、と口にすることは出来なかった。……己は、彼を知らない、のだ]