―回想・0日目・PM10:30・ラウンジ―
[ぼんやりしすぎて油断していたか、人の気配が近付いてきていることに全く気付けていなかった。声を掛けられて驚きに肩を揺らし顔を上げる。振り返った先に居た男>>1:54は、合宿生が集められた時に見かけた顔だった]
……消灯前に少し時間を潰そうと思って。
教官にでも見つかったかと思ってびっくりしたよ。
[ペンダントをシャツの中に戻しつつ、視線を隣に向ける。目を合わせようとしたところで、垂らされた毛先の雫が目に留まり]
髪──濡れたままじゃん。風邪引くぞ。
[弟に触れる時と同じ感覚で相手の頭部へと手が伸び、濡れた毛束を乱し宙に水分を散らした。年上だろう殆ど面識のない相手に対して無礼でしかないが、そんな思考すら回らない程度には晩餐時のアルコールが残っていたようで]