― スラム街・小カラカルと ―[発生原理はどうあれその獣には実体がある、と感じることができた。>>1:94手に触れる耳の房毛にちょっとしたくすぐったさを感じつつ、ここがどこかもさておいてつかの間和んでしまっていたが、獣が喉を鳴らすごろごろという音に紛れて聞こえた別の“音”に、驚いて硬直してしまっていた。やがて視線は獣を見たりタイガのいた方を見たりをせわしなくなる。結局タイガについていくのを優先することにして、獣の前足を引っ掴むと無造作に歩き出す]