魔界の生物というものは概して粗野で愚鈍、もしくは狡猾で卑屈というものに分かれているわけですが、能力の高いものほど知能も高く、中には高尚な遊興や風雅などにも興味を持つものが現れます。
一部の高位魔族であれば、自身の趣味に打ち込むことこそが生きがい、存在の目的というものもおりますようで、中には芸術や学問など、定命の者には到達しえない域にまで極めるものもおります。
無論、人間の美意識や倫理観とはかけ離れたものばかりではありますが、彼らが純粋に自身の求めるものへ打ち込んだ結果の産物は、正邪を越えて我々の魂を引き込むような力を持つものも多く───
─── 或る魔界研究者の遺稿