すまんけんど、おいはシルキーちう人を見ちょらん。
金糸雀どころか何の鳥の姿も見かけちょらんし。
[すまなさそうにジャンに詫びた。]
おいには特別な能力は何もなか。
おいは人探しには足手まといじゃ。
[ほんの少しの間、眉をしかめて考え込んだ後。
きっぱりと顔を上げて、羆がいたという方角に向かうリエブルを目で追った。
さっとアルビンを振り返り、]
あん男が一人で行くちうなら、おいは放ってはおけん。
あん男がどんだけ強いか知らんが、おいでも何か役に立つこともあるかも知れんきに。
[じゃあの、と手を振り、リエブルを追って駈け出した。]