シモンとペーターの二人を疑っていたヤコブが、最終的に二人の供述を疑いもせず、鵜呑みにしていることも。シモンがそんなヤコブに疑問すら抱かず、ペーターが刺されるのを黙って見過ごしたことも。不思議でしかたがない。
これだとまるで、はじめから決まっていた結末へと流れていっただけに思えてしまう。
[ともすれば、相手を責めているかのような口調だが、責めるつもりも疑いをかけるつもりもないのだった。その場にいる人には聞こえたであろうその言葉は単純に、純粋に、疑問を口にしただけ。或いは己の落ち着いた様子から、そのことは簡単に悟られるかもしれない。]
──殺す理由が欲しかっただけ。
そう結論付けたのだけれども、どうだろうか。
[付け加えた言葉も、疑念は含まれていない。或いは、シモンとヤコブの二人が自分達人狼とは別の人外で、村を滅ぼそうとしているのかもしれないとも考えた。が、それこそ妄想に過ぎる話だと頭から打ち消した。]